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大正大学で講義します
4月から、大正大学表現学部で、編集志望者を対象に体験的編集者論を講義します。楽しみ半分、不安半分といった気分です。
松田哲夫(まつだてつお)
1947年東京都生まれ。編集者。ブックコメンテーター。筑摩書房顧問。著書に『「王様のブランチ」のブックガイド200』、『印刷に恋して』、『「本」に恋して』など。4月より、NHKラジオ「ラジオ深夜便」にて「わたしのおすすめブックス」コーナーがスタート。
『悲しみを聴く石』
アティーク・ラヒーミー
イチオシ!名優が演じる一人芝居を観ているようだ
 内戦で荒廃した街、廃墟になりかかっている建物。そこに、植物状態で横たわる夫と看病する妻の姿がある。英雄と呼ばれた夫は、仲間内のいさかいで首に弾丸を撃ち込まれ、意識をなくした。妻は夫に向かって、これまで心の内に秘めていたことを、絞り出すように語りかけていく。夫や家族への不満、性をめぐるさまざまな思い、そして、娘たちの出生の秘密にいたるまで。終始、妻一人の動きと語りだけで、すべてが表現されていく。一人芝居の舞台劇のような、カメラをフィックスしたままの映画のような、そういう緊張感が全編にはりつめている。そして、思いがけないラストは衝撃的だった。読後に、読者の心の中に、ズシリと重い石が残る物語だ。先日、私も出演した「週刊ブックレビュー」で桜庭一樹さんがオススメの一冊にあげていたので読んで、圧倒された。
『ナニカアル』
桐野夏生
女として、作家として
 奔放に生き、旺盛に作品を発表した林芙美子。戦争という重苦しい現実、軍部が仕組んだ罠、その中でいのちの限りを尽くした愛を貫き、その結晶をつかみ取る。実名小説という域を遥かに超えて、サスペンス小説としても、恋愛小説としても迫力満点の作品に仕上がっている。
『自分だけの一冊
北村薫の
アンソロジー教室』
北村薫
読書の楽しみをさらに深く
 直木賞受賞で、ますます人気が高まっている北村さんは、ミステリーや詩歌などの面白いアンソロジーを編む達人でもある。そういう彼が、アンソロジーの編み方、楽しみ方の秘訣を披露してくれる。私がコミットした『東京百話』、『ちくま文学の森』も出てきて嬉しかった。
『犬の足あと 猫のひげ』
武田花
写真も文章も味わい深い
個性派の写真家は、猫を追いかけて写真を撮る。気がつくと、場末の路地や海辺の景色からエアポケットのような処に迷い込んでいる。そこでは、風変わりな人たちが棲息し、奇妙なことが起こる。特異な眼差しと感覚で撮影された写真、綴られたエッセイ、それぞれが味わい深い。
『テルマエ・ロマエ』
ヤマザキマリ
大まじめな主人公が笑える
 仕事に悩んでいた古代ローマの風呂設計技師ルシウスは、浴槽につかって構想を練っていて、現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまう。古代ローマと現代日本の風呂文化を比較しながら、笑わせるツボもしっかり押さえている傑作ギャグ漫画。「マンガ大賞2010」を受賞。


 
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