イチオシ!世界的な大傑作がここに誕生した!
待ちに待った3巻、充実した読書時間を過ごしつつ、一気に読了することができた。どうやら、2巻の終わりが折り返し地点だったようだ。3巻では、これまでの物語を別の角度からていねいに見直していくことになる。青豆、ふかえりの女性陣はほとんど蟄居状態で、天吾くんだけがあちこち動き回っている。青豆と天吾を追跡する牛河というアクの強い人物も暗躍する。張りつめた緊迫感と程のいいユーモアに包まれて一気に読み進むと、鮮やかなエンディングに辿り着くことができた。今回、村上さんは「物語としての完結性」に力点を置いたのだろう。『海辺のカフカ』のように、未解決のものを読者に投げかけたまま作者は去る、という風にはなっていない。読者からすれば、一つの神話的な物語を十二分に満喫できるのだから、こんなに幸せなことはない。 |