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井上ひさしさん、さようなら!
『吉里吉里人』の書き始めに立ち会えたこと、『ちくま文学の森』の目次作りをお手伝いできたこと。楽しい思い出をありがとう。
松田哲夫(まつだてつお)
1947年東京都生まれ。編集者。ブックコメンテーター。大正大学客員教授。著書に『「王様のブランチ」のブックガイド200』、『印刷に恋して』、『「本」に恋して』など。
『ひそやかな花園』
角田光代
イチオシ!
七人の男女が直面した衝撃的な事実とは?

 まず、サスペンスタッチの導入部分に引き込まれる。七人の男女は幼い頃、毎年サマーキャンプに参加していたが、ある年、突然中止になる。成長していく彼らは、「あの集まりは何だったのか?」という疑問を抱く。やがて、その謎は解かれるのだが、そこから七人の苦悩が始まり、さらにスリリングな展開を迎える。そして、彼らが直面した重いテーマは、人間にとって普遍的な問題であり、これまで当たり前だと思っていたことがズシリとのしかかってくる。でも、登場人物たちは人間的な魅力いっぱいで、決して希望を忘れない。そういう姿勢が、この物語を風通しのいいものにしている。だから、読了したとき、目頭が熱くなり爽やかな涙が流れてきた。『八日目の蝉』、『森に眠る魚』と、子どもを産み育てることの意味を問い続けてきた角田さんが到達した新境地。
『一週間』
井上ひさし
笑い、エロス、どんでん返し
 近年は芝居に力を注いできた井上さん。最後の長編小説では、「シベリア抑留」という重いテーマに真っ正面から立ち向かい、抜群に面白い小説に仕立てている。ソ連赤軍にたった一人で戦いを挑んでいく主人公。頓知のきいた作戦の数々は、まさに井上さんの独擅場である。
『ペンギン・
ハイウェイ』
森見登美彦
初めてなのに懐かしい世界
 不可思議で奇妙奇天烈な世界を描かせたら誰にも負けない森見さん。この小説は、SF、ファンタジー、青春小説、どれであっても傑作である。でも、ぼくは、これは世にも美しい恋愛小説であると、声を大にして言いたい。こんなに一途で、純粋で、切ない恋愛はそうそうない。
『乙女の密告』
赤染晶子
笑いと緊張の背中合わせ
 京都の大学で『アンネの日記』を教材にドイツ語を学ぶ乙女たち。彼女たちの間に噂が広まり、密告がなされ、グループから排除される。乙女たちの生理と心理が生み出す少女漫画的な世界をアンネの世界に重ね合わせる、奇妙な風合いの短編小説。第一四三回芥川賞受賞作。
『乙嫁語り1〜2』
森薫
雄大な自然と美しい文様
 十九世紀後半、中央ユーラシア・カスピ海沿岸。定住化した大家族の十二歳の少年カルルクのもとに、山を越えて遊牧民の娘、二十歳のアミルが嫁いでくる。温和しい彼女は、弓を持たせると凛々しく変貌する。風景や刺繍、彫刻など、描き込まれた絵が素晴らしいコミック。


 
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