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ノーベル文学賞の発表を待って
10月7日はNHKから待機を要請されていた。村上春樹さんが受賞したらコメントするためだ。来年こそ「受賞」の朗報を聞きたい。
松田哲夫(まつだてつお)
1947年東京都生まれ。編集者(元筑摩書房専務取締役)。ブックコメンテーター。著書に『「王様のブランチ」のブックガイド200』、『印刷に恋して』、『「本」に恋して』など。
『シューマンの指』
奥泉光
どんでん返しに驚く青春音楽ミステリー
 指を切断されたはずの天才ピアニスト永嶺修人。彼が演奏をしていたという奇怪な報告から物語は始まる。シューマンに取り憑かれた少年たちの感情過多で衒学的な振る舞いが濃密に描かれていく。彼らが熱く語るシューマン論も、真剣さが伝わってくるだけに説得力がある。芸術的な青春小説の世界にひたっていると、最大のクライマックス「幻想曲の夜」がやってくる。読者は再び、ミステリーの世界へと引き摺り込まれるのだ。そこには、殺人、倒錯、衝撃、切断、失踪などドラマチックな展開が待ちかまえている。次々と明らかになる「真実」に動揺しつつ、主人公の手記を読み終える。そして最終章、主人公の妹の手紙を読んで、心底驚愕した。まったく予想もしなかったどんでん返し。こんなに充実した物語を味わうことができるミステリーは久しぶりだった。
『漂砂のうたう』
木内昇
極上の大芝居が目の当たりに
 気がつくと読者は、物語の舞台である明治初めの東京根津遊廓を、登場人物たちと一緒に歩いているような気分になってくる。この異様な臨場感は、しなやかでイメージ豊かな描写から紡ぎ出されてくるものだ。熟達した書き手の絶妙な語り口を心ゆくまで堪能できる歴史小説。
『獣の奏者 外伝
刹那』
上橋菜穗子
傑作ファンタジーの間奏曲
 あの最強のヒロインであるエリンにも、初々しく恋愛に胸をときめかした日々があった。また、エリンの厳しくも優しい師エサルも、若かりし日に情熱的な恋を経験していた。壮大な物語『獣の奏者』の中心人物二人の「女」としてのエピソードを情感たっぷりに描いた短編集。
『魔女のスープ
残るは食欲2』
阿川佐和子
読むとすぐに食べたくなる
 「残るは食欲」なんておっしゃるけれど、なんのなんの、この旺盛な好奇心、知識欲には圧倒される。それに、美味しそうな食べ物の描写がさらにパワーアップ、読むとよだれがあふれ出てくる。食べ物エッセイ術としては最強横綱東海林さだおに迫る張出横綱の域に達している。
『連句遊戯』
笹公人 和田誠
遊びごころは世代を超えて
 イラスト・デザイン・エッセイ・映画・音楽なんでもござれの超人和田誠と念力・UFO・ミイラ・サイボーグとヘンテコなものばかり出てくる短歌を作る歌人笹公人が連句で遊んだ記録。お二人の妄想力をフル回転させた、奇妙奇天烈なイメージの連発で笑わせてくれる奇著。


 
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