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アンソロジーを編む楽しみ
『中学生までに読んでおきたい日本文学』(あすなろ書房)を編集中。昔の短編小説は、読むほどに発見があって面白いですよ。
松田哲夫(まつだてつお)
松田哲夫(まつだてつお)
1947年東京都生まれ。編集者(元筑摩書房専務取締役)。ブックコメンテーター。著書に『「王様のブランチ」のブックガイド200』、『印刷に恋して』、『「本」に恋して』など。
『抱擁、あるいはライスには塩を』
江國香織
あらゆる意味で型破りな物語に圧倒されます
 これは、東京神谷町に豪邸を構える柳島一家三代の型破りな物語です。貿易会社を成功させた竹治郎とロシア人の妻の間には二女一男、三人の子供がいます。さらに、長女と入り婿の間には四人の子供がいて、このうち二人は父と母が異なるという複雑な関係なのです。でも、子供たちは、この家独自のルールに従って、知的で豊かな暮らしを送りつつ、成長していきます。この物語は語り口もかなり型破りです。一章ごとに語り手がかわり、語っている年月も、四十六年の間を自在に飛んでいくのです。こうして、立体的なジグソーパズルのピースをはめるようにして、一家の姿が鮮やかに浮かび上がってゆきます。この一家の風変わりな世界に馴染んだと思っていると、ラスト五十ページで思いがけないドラマが展開され、壮大な愛の物語に見事に幕が下ろされるのでした。
『タイニーストーリーズ』
山田詠美
ドキッに出会う楽しみが……
 色とりどりのドロップを、一粒一粒口に入れてゆっくりしゃぶって味わう、そんな感じ。どのお話も円熟した文章が、まろやかで、香り高く、味わい深いのです。その上、どこかにちょっとエッチ、ちょっとブラックな隠し味が……。でも、後味はさっぱりと気持ちいいんですよ。
『ツリーハウス』
角田光代
根無し草が作った社会とは?
 これは、庶民の一家の三代にわたる大河物語です。ヒーローやヒロインになれない人たちは、いつの時代にも「逃げる」ことを繰り返してきました。肯定するにせよ、否定するにせよ、この国の庶民は、こういう生き方しかできなかったんだということを痛いほど知らされます。
『マボロシの鳥』
太田光
ストレートな寓話集です。
 爆笑問題の太田さんが小説を書きました。さすがは太田さん、語りのスタイルが一話ごと異なっていて多彩なんです。そして、寓話というスタイルを借りて、現代社会の問題に鋭く切り込みます。言葉や物語の力を信じている、ドン・キホーテのような一途な姿には打たれます。
『【新訳】チェーホフ短篇集』
アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ
悲惨と滑稽が背中合わせに……
 チェーホフは、絶望や破滅に向かう人びとを、冷たく突き放すことなく、クールに見つめ続けます。こうして、百年以上前に発せられた鋭い問いかけが、ぼくたちに迫ってくるのです。しなやかな新訳と刺激的な解説によって、チェーホフは現代作家としてここに蘇ったのです。


 
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