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いまこそ笑いとユーモアを!

苦しみや悲しみ、恐怖や不安が強まった世の中だからこそ、笑える作品は貴重です。タイプの違うユーモア小説を揃えてみました。

松田哲夫(まつだてつお)

1947年東京都生まれ。編集者。書評家。『中学生までに読んでおきたい日本文学』(あすなろ書房)が版を重ねている。著書に『印刷に恋して』、『「本」に恋して』など。

イチオシ!ホラ話の世界がさらにパワーアップ!

笑っているうちに、とんでもない世界に連れ去られてしまう、マキメ・ワールドの最新アトラクションです。超能力をもった一家にうまれた涼介は、その力の使い方を学びに本家のある琵琶湖畔石走のお城におもむきます。そこで出会ったのは、個性豊かな奇人変人ばかり。涼介のとまどいに共感しながら、一体、何が起こるのだろうか、と身構えていると、まったく想定外の人物や思いがけない方向から、強烈なインパクトのあるアクションが炸裂してくるのでした。そして、ハイスピードのジェットコースターに乗り込んだみたいに、めくるめく光景が目の前に出現します。『鹿男』『トヨトミ』には理詰めの部分もありましたが、今回は、ストーリーが勝手に暴走していって、登場人物たちは勢いのままに翻弄されていきます。そんな迫力満点のホラ話に大満足しました。

とことん笑えるダメ男物語

クワコーは、覇気のカケラすらない、どうしようもない男です。でも、負け犬の習性で、自分よりも強い人間、賢い人間にひれ伏すのは平気です。研究室に居座ったコスプレ文芸部の連中に、いたぶられ、哀れみをかけられながら、結局は、彼女たちの活躍に救われるのでした。

ビターな味のユーモア小説

中高年女性が直面する、夫との関係、子供の教育、親の介護、仕事の悩み、老後と財産などなど。そこから噴出する不平不満を、同じ職場で働く女性同士の井戸端会議にぶつけます。その結果、苦い笑いとともに、一番しょうがない人は自分だということがわかってくるのです。

恋するのんべえエディター

小説誌編集者の小酒井都は、仕事は順風満帆、お酒の方も快調のペースでくいくいやっています。ある日、素敵なイラストを描くオコジョさんと知り合い、親しくなっていきます。文芸編集者の仕事ぶりを紹介しながら、大人の恋のなりゆきを温かく見守るラブコメ・ロマンス。

「笑い」はこの世の宝もの

井上さんが亡くなって一年が過ぎ、未刊行長編小説が次々に刊行されるなど、ファンへの贈り物は続いています。NHKテレビのインタビューをまとめた本書は、井上さんの波乱に富んだ生涯と、芝居や小説などの作品を書くにあたっての心構えがストレートに語られています。