本、雑誌、CD・DVDをお近くの本屋さんに送料無料でお届け!

「ほんのまくら」フェアが大反響

先月紹介した、最初の一行で文庫本を選ぶフェア(紀伊國屋書店新宿本店)、約1万9千冊もの驚異的な売上げを記録したそうです。

松田哲夫(まつだてつお)

1947年東京都生まれ。編集者。書評家。「週刊ポスト」で「松田哲夫の愉快痛快人名録 ニッポン元気印時代」を連載中です。著書に『印刷に恋して』、『「本」に恋して』。

イチオシ!濃厚で充実した人間ドラマを堪能させてくれる力作

この小説の主人公は五十代の女性、美津紀。主婦業のかたわら大学講師や翻訳の仕事をしています。ぜいたく好きで、自己中心的だった母親は怪我の後遺症で不自由になり、認知症も進行中です。その壮絶な介護が、彼女の肩にのしかかってきます。おまけに大学教授の夫は若い女と浮気をして、離婚の算段までしている模様です。この長編小説の真ん中あたりまでは、救いのない、美津紀の苦しい日々が描かれていきます。ところが、母親の臨終で状況が一変し、舞台も箱根のホテルに移ります。彼女は、ここでちょっとミステリアスな、ちょっとロマンチックな経験をします。そして、波乱に富んだ祖母や母親の人生を振り返り、自分の結婚生活を見直していきます。そのあげく、残りの人生を真に豊かなものにしようと考え、心安らぐエンディングを迎えるのでした。

ふくわらい

『ふくわらい』

西加奈子

奇人変人が登場する哲学小説

鳴木戸定は、奇人の紀行作家の一人娘で書籍編集者。担当する著者も、元引きこもりや悩めるプロレスラーと個性的です。超真面目な仕事ぶりには一目置かれています。でも、ピュアでまっすぐな定には「感情」が理解できません。そういう彼女に感動的な転機がやってきます。

本人伝説

『本人伝説』

南伸坊

一服の笑える清涼剤です

南伸坊さんは、自分の顔のパーツを使って七十四人の立体似顔絵を描き、「本人になろう」としています。だから、そっくりでも、似ていなくても面白いんですね。そして、あくまで本人になるので、批判したり、からかったりはしないので、見ていて気持ちよく笑えるんです。

大震災から立ち上がる書店員

休業していたお店を再開したとき、生活物資が未だ不足しているというのに、たくさんの人たちが本や雑誌を求めて書店にやってきたそうです。そういう光景を見ていて、「本や雑誌も人々の人生に欠かせない生活物資だった」と書店員も気づくのでした。とてもいい話ですね。

ジュンク堂書店新宿店

『書店員が本当に売りたかった本』

ジュンク堂書店新宿店

書店員の情熱が伝わってくる

今年三月、閉店したある書店の記録です。書店員一人一人が、自分の売りたい本を選び、その思いの丈をPOPに書いてアピールしています。ほとんどのページを占める手書きPOPの写真からは、書店員たちの肉声と熱い思いが伝わってきて、目頭が熱くなってくるのでした。