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第149回芥川賞・直木賞決定!

芥川賞は、本上まなみさん似でホラー好きの京女・藤野可織さん、直木賞は、最近活躍が目立つ北海道在住の一人・桜木紫乃さん。

松田哲夫(まつだてつお)

1947年東京都生まれ。編集者。書評家。「週刊ポスト」で「松田哲夫の愉快痛快人名録 ニッポン元気印時代」を連載中です。著書に『印刷に恋して』、『「本」に恋して』。

イチオシ!心の底に静かに響きわたる物語

題名にある「彼ら」とは「動物たち」のことです。これまでの多くの小川作品では、動物たちは物語を成立させる大事な役割を担っていました。今回の短編集でも、物語の中心にいたり、主役だったりするわけではなくて、物語のなかにそっと忍び込んできたり、最初からひっそりとそこにいたりするのです。そして気がつくと、登場人物たちに、ひいては私たち読者にも忘れがたい印象を残してくれるのです。フランスのレースに参加する名馬に寄り添って旅する馬のことを思う人(「帯同馬」)。ビーバーが森のあちこちに残した痕跡を集める翻訳者(「ビーバーの小枝」)。美しいティアーズラインを持つチーターに惹かれる動物園の売店員(「チーター準備中」)。万華鏡のように虹色に発色する蝸牛の群れと風車(「断食蝸牛」)。この世の片隅でささやかに生を営んでいる人たちに、暖かな光を投げかけてくれる動物たち。彼らに一度会ってみたいものですね。

第149回直木賞受賞作!

北海道釧路湿原を望むラブホテルを舞台に、七つの物語が時間を遡って語られます。利用客、経営者、家族、従業員などの屈折した人生の一場面が鮮やかに切り取られています。閉ざされた日常のなかで出会い、肌をあわせる男女の、切なくも哀しい運命が惻々と胸に迫ります。

直木賞受賞後第一作も快調!

児童養護施設で暮らす五人の子どもたちは、それぞれに傷や屈折を抱えながら、自分の居場所と大切な人を見つけていきます。でも、このユートピアにもさよならの日がやってくる。そこで彼らは、自分たちの思いを込めて、ある「作戦」を実行しようと動き出すのですが……。

目からウロコの連続です

自民党圧勝で選挙は終わりましたが、今の政治や政治家に不満をお持ちの方には、是非一読をおすすめします。これまで、モヤモヤしていたことがクッキリわかります。冗談抜きに、坪内さんに総理になってもらいましょうか。阿川佐和子官房長官頼みの組閣も面白そうですし。

なんと爽やかな読後感!

重度身障者の鹿野さんとそれを支えるボランティアたちが、正面からぶつかりあい、格闘していく姿を描いています。講談社ノンフィクション賞と大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞した作品です。「読む人の心に届く何かがきっとある本です。」(解説・山田太一さん)