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「ラジオ深夜便」おすすめブックス!

参議院選挙(7月)と夏の高校野球(8月)によって番組編成が変わり私のコーナーはお休みでしたが、9月からは通常通りに戻ります。

松田哲夫(まつだてつお)

1947年東京都生まれ。編集者。書評家。「週刊ポスト」で「松田哲夫の愉快痛快人名録 ニッポン元気印時代」を連載中です。著書に『印刷に恋して』、『「本」に恋して』。

イチオシ!宮部エンターテインメントの総力戦!

江戸の神田で袋物屋を営む「三島屋」では、若い娘が江戸中から不思議な話を集めているという噂が瓦版にも載って、次々にお客が訪れます。自らも関わる陰惨な事件がきっかけとなって心を閉ざしてしまったおちかは、叔父の店である三島屋に、行儀見習いとして身を寄せています。そこでおちかは、叔父の提案で市井の人びとが語る怪談や不思議物語(百物語)を聞くようになったのです。黒白の間で語られる百物語の約定はただ一つ「聞いて聞き捨て、語って語り捨て」だけ。こわい話や不思議な話が、語る者、聞く者の心をゆっくりと解いてゆくのでした。時代小説という枠組みのなかで、ミステリー、ホラー、ファンタジーの面白さをふんだんに盛り込んだ、宮部エンターテインメントの総力戦、まさに絶好調です。怖くて切ない怪談「三島屋」シリーズ第三巻です。

爪と目

『爪と目』

藤野可織

第一四九回芥川賞受賞作

三歳の娘である「わたし」、父の不倫相手だった継母の「あなた」、この二人の間の出来事が綴られていきます。たとえて言えば、爪の先というあやふやな触感と強度の近眼の目で眺めた印象が語られるのです。心理や感情、とりわけ愛情が欠落した世界の恐怖が迫ってきます。

故郷を活き活きとさせたい!

瀬戸内海にある小さな冴島を舞台に、四人の少年少女たちの成長物語が展開されます。自分たちの将来と島の未来を真剣に考えながら彼らは行動します。そこに、それぞれの立場と生き方によって協力したり対立したりする大人たちのドラマが、ぶつかりあっていくのです。

優しいけれど鋭い問いかけ

これは、「なぜ働くのか?」という疑問を抱いた十二歳のリツ君が挑んだ静かな大冒険の物語です。彼の問いかけに、いろんな仕事をしている大人たちがていねいに答えてくれます。読み終わると、読者のなかに本当の答えが芽生えている。そんな気持ちになる楽しいお話です。

風変わりな恋愛コミック

身長1b60の小柄な中学二年生の男子・上場優一は、ふとしたはずみで幼なじみの富士山牧央とつきあい始めます。富士山はバレー部のエースで身長が1b81です。21aの身長差のおかげでコミカルな展開にもなりますが、中学生らしい初々しい恋には胸キュンの連続です。