「アンソロジーは花盛り」
というコラムを、「東京新聞」の夕刊に、1月5日(月)から3月末まで約60回、連載しています。挿絵は後藤美月さんです。
松田哲夫(まつだてつお)
1947年東京都生まれ。編集者。書評家。毎月刊行している、池内紀、川本三郎、そして松田が編集するアンソロジー「日本文学100年の名作」(新潮文庫・全10巻)は5巻が刊行されました。著書に『印刷に恋して』、『「本」に恋して』、『縁もたけなわ』。
イチオシ!少年少女たちの大冒険物語の幕が上がる
舞台は、様々な謎を秘めたパワー・スポット、白烏神社。この神社に住む小学五年生の少女剣士・千里をはじめ、いとこの星司、臆病な美音、千里の天敵・礼生、並外れた頭脳の持ち主・数斗、クラスのファッションリーダー有沙という六人の子どもたちが繰り広げる冒険物語です。例大祭の夜、彼らが子ども神楽の演じ手として選ばれたことをきっかけに、まわりで不思議な出来事が次々と起こります。彼らはどういう謎に立ち向かおうとしているのでしょうか……。必ずしも仲良し同士ではない六人は、それぞれの個性を生かしながら前に進んでいきます。『黄色い目の魚』『一瞬の風になれ』など、揺らぎつつ、迷いつつ、まっすぐに難問に挑んでいく少年少女を描いてきた佐藤さん。このファンタジー・ノベルで、読者をどこまで連れていってくれるのか、楽しみです。
嘘泣きする美少女の気持ち
中学生のりくは、他人はもちろん、自分の気持ちや感情もよくわかっていません。そういう彼女に人情たっぷりの関西弁シャワーがもろに浴びせられます。嘘泣きができなくなったりくの心に劇的な変化が訪れるのでした。下書きのような絵がとぼけた味を出しているコミックです。
Kは小噺・簡潔・奇態のK
「ショートショートに驚異の新人現る」と帯にはありますが、「オール讀物」十二月号では「謎の新人の正体は夢枕獏だった」と正体を明かしています。掌編小説といえば、稲垣足穂、星新一、川端康成などが有名ですが、先人たちとは一味ちがう掌編世界を作り上げています。
たむらワールドはオアシスだ
たむらさんが漫画デビューした頃から、フープ博士やロボットのランスロットは登場していました。その後、アニメーションやCMにもなりましたが、いつまでも初々しさを保っています。移ろいやすい世の中だからこそ、いつも変わらずにいる彼らは、僕たちのオアシスです。
とにかくうまい野菜が食べたい!
我田さんは、越後の野菜栽培&料理人です。朝は仕入れ、昼は塩沢町で畑仕事、夜は六日町で季節料理の店を開いています。最初は、見よう見まねで始めた野菜作りは、みてくれが悪くても、化学肥料なし、栄養たっぷりです。野菜のおいしさを堪能できるレシピも付いてます。