那覇と上諏訪で講演してきました
那覇は出版関係者など、上諏訪は長野県の書店さんで、どちらも熱心な質問が相次ぎ、楽しいひとときを過ごすことができました。
松田哲夫(まつだてつお)
1947年東京都生まれ。編集者。書評家。池内紀、川本三郎、そして松田が編集するアンソロジー「日本文学100年の名作」(新潮文庫・全10巻)は7巻が刊行され、まさに佳境です。著書に『印刷に恋して』『「本」に恋して』『縁もたけなわ』など。
イチオシ!悲しみに彩られた荒唐無稽なスペクタクル
時は現代、舞台は京都。下鴨神社糺ノ森にいる狸の一族・下鴨家、その四兄弟は父親の遺志を継いで、ライバルの夷川家と張り合いながら暮らしています。彼らの師匠であるおいぼれ天狗の赤玉先生、その跡継ぎだったはずの「二代目」がイギリスより帰朝すると、半天狗の美女・弁天との跡目争いが巻き起こります。狸たちの覇権争い、狸を喰う人間たち(金曜倶楽部)の悪巧み、さまざまな片思いなどなど、狸と天狗と人間が入り乱れる、荒唐無稽な絵空事の世界が、豪華絢爛に繰り広げられるのです。とんでもない出来事や、ばかばかしい会話に笑い転げながら、ここに登場する狸も天狗も人間も、それぞれに深い悲しみをうちに秘めていることがしだいに明らかになっていくのです。七年半ぶりに第二部が発表された森見ワールドの大傑作、次の直木賞の大本命です。
若い感性がとらえた終戦
昭和二十年八月十五日、十九歳の通信兵は、東京駅からふるさと広島に帰ろうとしています。戦争をしたという実感を持てずに除隊、中空につり下げられたような若い兵隊の心理を、終戦の日の風景の中で繊細に描いていきます。小説家としても大注目の俊英映画監督の珠玉の小品。
穴を掘ることで見えるもの
二人の男の子、サムとデイブは仲良しのがんばりやさんです。ある日、二人はおじいちゃんの庭に穴を掘りはじめ、「すっごいものをみつけるまで」掘り続けます。そして、思いがけないラスト。シンプルだけど、いろんな解釈が可能なこの絵本、あなたはどう読むのでしょうか。
目からウロコの一冊です
いやあ、丁先生って楽しい人ですねえ。その上、好奇心旺盛な伸坊さんが聞き手なので、丁先生、面白い話を惜しげもなく披露してくれます。体と健康に関わることですが、びっくりするような、でも深く納得できることばかりです。漢方がとっても魅力的に感じられる一冊です。
古代世界にタイムスリップ
古代史、古代文化に強く惹かれた著者は、いつのまにか、ひとりで古墳をめぐる旅を始めました。小高い丘に登って原型を想像したり、面白い埴輪に驚喜したり、読んでいると無性に古墳に出かけたくなるコミックエッセイです。「ほぼ日」の人気連載がもとになっているとか。