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二〇〇九年に刊行された数多の小説の中から、私なりの評価をもとに選んだベスト作品をここに紹介したい。この年の最大の話題作は、言うまでもなく村上春樹さんの『1Q84』(新潮社)だろう。二巻ともに百万部を超えるという驚異的な売れ行きもさることながら、現代社会における善と悪の問題を真っ正面から投げかけていること、その語り口がエンタテインメント顔負けの面白さがあること、そしてノーベル文学賞はいつかなど、話題には事欠かない。ただし、いまの段階では未完の作品だということなので、賞の対象からははずした。大賞、特別賞の二作は、『1Q84』と同じく、我々にとって大事な問題に果敢に立ち向かっていった意欲作である。 |
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1947年東京都生まれ。編集者。ブックコメンテーター。筑摩書房顧問。「王様のブランチ」にて書評コーナーを13年務めた。著書に『「王様のブランチ」のブックガイド200』、『印刷に恋して』、『「本」に恋して』など。
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