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「『噂の眞相』トップ屋稼業」西岡 研介著
紹介者 講談社 学芸図書出版部・ 小沢 一郎さん

 
「虫の目」で描く
 鳥の目と虫の目。
 ノンフィクション作品の書き方には大きくわけてふたつの手法があると思います。世の中を鳥の目で俯瞰して描くのか、虫の目で地べたをはいつくばって描くのか、です。
 どちらの手法にもすぐれた書き手の方はたくさんいらっしゃいますが、僕は圧倒的に「虫の目派」好みです。対象とおなじ目線で、もしくは対象を見上げながら書く作品の方が、見下ろしながら書いた作品より、われわれのふつうの感覚を代弁していると思うからです。
 そんな「虫の目派」ライター数いる中で、最近の私のイチオシが、「『噂の眞相』トップ屋稼業」の著者、西岡研介さんです。『噂の眞相』――ご存知ですよね。全ページスキャンダル記事と言ってもいいぐらいの危なっかしい月刊誌ですが、その『噂眞』がここ2〜3年、やたらに元気がいいと思いませんか?
 朝日新聞が朝刊一面で後追いした「則定衛東京高検検事長の女性スキャンダル」、不人気宰相への最後の一撃となった「森喜朗首相の買春検挙歴報道」、女性週刊誌がいっせいに追いかけた「TBSが関与した人気タレント乱交パーティ」などの記事はご記憶の方も多いと思いますが、西岡氏はこれらの世間をアッと言わせるスクープ記事に、一貫して携わってきました。本書は、誰もが知りたい「スクープのウラ話」が満載なのです。
 その西岡氏、3年半前まで神戸新聞社会部に勤めていました。新聞記者という肩書を捨て、あえて『噂の眞相』というゲリラ雑誌に身を投じたのはなぜでしょう。阪神・淡路大震災、少年Aなどの事件取材を通して氏の報道観が醸成され、新聞記者としての生き方に疑問を抱いていくところも、本書の読みどころのひとつだと思います。
 ところで、西岡氏は10月から週刊誌の世界で活躍中です。「虫の目派」のホープの今後に、みなさんどうぞご注目ください。

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