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流産・死産・新生児死で赤ちゃんを亡くした11家族13名の親(父2名)が、
実名で綴った初めての本。
小さな短い命を愛おしむ気持ちと、自らの死産体験を赤裸々に綴った文章が、
遅れている死産のケアに対して一石を投じる話題の書です。
誕生死
流産・死産・新生児死で子をなくした親の会/編
出版社/三省堂
本体価格/1,300円
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●「あとがき」より
 英語では、おなかの中で亡くなったケースを、”STILLBORN(スティルボーン)”と言います。日本語では単に「死産の」と訳されますが、”STILLBORN”には、「それでもなお生まれてきた」という深い含みがあり、「死産の」という日本語では、あまりにそぐわないと、私たちは感じてきました。

 おなかの中で亡くなってしまった場合は、戸籍にも載らず、存在がなかったことになってしまいます。でも、私たちの子どもは、どんなに短い命であろうと、確かにこの世に生まれたのです。たとえ、子宮という小さな世界から、生きて外にでてくることがなかったとしても、あるいは生まれてすぐに亡くなってしまったとしても、私たちにとっては、確かにわが子は”誕生した”のです。

 亡くなった子どもの幼いきょうだいが、驚くほど的確にそれを語ってくれました。

「ママのおなかに赤ちゃんが生まれた」そして「赤ちゃんはコタル(蛍)になったの」。

 このような私たちの思いをひとことで伝えられる言葉が「誕生死」なのです。

・・・(中略)・・・・

 私たちと同じ悲しみを経験して、心の行き場を見つけられないでいる方が、この本を読むことで、「どうして自分だけが」という孤独感から一歩出て、自分はひとりぼっちではないと感じてくだされば、幸いです。悲しみの心にそっと寄り添えること、それが私たちの願いです。そして、幸いにも、私たちのような経験をしていない方にも、私たちの思いを少しでも知っていただければ、うれしく思います。

・・・(中略)・・・・

 巻頭の”STILLBORN”の詩の転載を快く承諾してくださった原作者のレオナルド・クラークさんと、この詩の訳者であるSIDS家族の会に感謝します。

 私たちが出会い、この本をつくりあげたこと、そしてこの本がもたらすたくさんのことが、お空の子どもたちからのプレゼントです。

2002年2月22日


●目次
詩 STILLBORN 誕生死
お産に関する言葉の簡単な説明
ママのおなかに赤ちゃんが生まれた。
■松村幸代(愛知県名古屋市)
お母ちゃん、遊月ちゃんはコタル(蛍)になったの。
■川合藤花(神奈川県川崎市)
とってもきれいな赤ちゃんよ。
■井上恵(千葉県松戸市)
一目会って抱き上げてやりたかった。
■井上恵の夫(千葉県松戸市)
佳菜も美文も、短い命を承知で私を選んでくれたんだ。
■久光美奈(岩手県北上市)
ひかるは私に「生きて!」と言っているのだ。
■北村紀子(山口県美祢郡)
ゆりかごの歌を、さおちゃんに唄うよ。つぎはしおちゃんに唄うよ。
■古閑令子(千葉県君津市)
麻衣ちゃん、きれいなお花がいっぱいでよかったね。
■浅水屋七重(埼玉県吉川市)
この手に抱けなかった息子、温(あつし)
■山本美帆子(神奈川県横浜市)
七か月を生きた君へ。
■山本光宏(神奈川県横浜市)
和香奈ちゃんのこと、ぜったい忘れないからね。
■足立詠子(静岡県浜松市)
たっちゃんの一年一一か月
■村上真由美(福島県原町市)
かっかが飛んでいかなくて良かった。
■越川加津江(千葉県四街道市)
あとがき
●編集部から
 ある日、突然、おなかの中で赤ちゃんが亡くなってしまう。それまで思い描いてきた「未来」のすべてを失う。しかも、お産と同じく赤ちゃんを産まなくてはならない、誕生日がそのまま命日となる、こんな過酷な体験が静かな言葉で赤裸々に語られています。

 年間死産は3万〜4万。少子化社会といわれるなかで、毎日約100人が赤ちゃんを失っていることになります。その人たちに「つらいのはあなただけではない。孤独にならないで」とエールを送る本です。(あとがきの著者の言葉をごらんください)

 また、「早く忘れなさい」と当事者の心に沿わない言葉かけをしてしまう友人や親族などの周囲の人に当事者の気持ちをわかってもらうための本でもあります。

 またケアが遅れているお産の現場の医療関係者にも読んでほしい本です。

 若い世代の人にも、無事に生まれた自分の命の大切さにもう一度思いをはせてほしいという思いから、ふりがなをふりました。「命の誕生」について興味のある若い世代にも読んでもらいたいと著者は願っています。


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