英語では、おなかの中で亡くなったケースを、”STILLBORN(スティルボーン)”と言います。日本語では単に「死産の」と訳されますが、”STILLBORN”には、「それでもなお生まれてきた」という深い含みがあり、「死産の」という日本語では、あまりにそぐわないと、私たちは感じてきました。
おなかの中で亡くなってしまった場合は、戸籍にも載らず、存在がなかったことになってしまいます。でも、私たちの子どもは、どんなに短い命であろうと、確かにこの世に生まれたのです。たとえ、子宮という小さな世界から、生きて外にでてくることがなかったとしても、あるいは生まれてすぐに亡くなってしまったとしても、私たちにとっては、確かにわが子は”誕生した”のです。
亡くなった子どもの幼いきょうだいが、驚くほど的確にそれを語ってくれました。
「ママのおなかに赤ちゃんが生まれた」そして「赤ちゃんはコタル(蛍)になったの」。
このような私たちの思いをひとことで伝えられる言葉が「誕生死」なのです。
・・・(中略)・・・・
私たちと同じ悲しみを経験して、心の行き場を見つけられないでいる方が、この本を読むことで、「どうして自分だけが」という孤独感から一歩出て、自分はひとりぼっちではないと感じてくだされば、幸いです。悲しみの心にそっと寄り添えること、それが私たちの願いです。そして、幸いにも、私たちのような経験をしていない方にも、私たちの思いを少しでも知っていただければ、うれしく思います。
・・・(中略)・・・・
巻頭の”STILLBORN”の詩の転載を快く承諾してくださった原作者のレオナルド・クラークさんと、この詩の訳者であるSIDS家族の会に感謝します。
私たちが出会い、この本をつくりあげたこと、そしてこの本がもたらすたくさんのことが、お空の子どもたちからのプレゼントです。
2002年2月22日
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