紙面掲載した書評をご紹介 「図書新聞」の書評コーナー

1949年創刊。硬派な人文書からホットなサブカルチャーまで紹介する週刊の書評新聞「図書新聞」とe-honのコラボ企画!

「図書新聞」の紙面で紹介した書評や、対談記事をご紹介します。【週1回更新】
取り上げる本や評者を厳選し、確かな見識で深く掘り下げた書評は「読み応えアリ」です!
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 ◆ 3301号(4月22日発売号掲載)

中国学の最前線

――現代の中国人の生活がよくわかる画期的な事典
対談:竹田 晃×西本晃二

 ■先ごろ丸善出版より『中国文化事典』が刊行された。既刊のイタリア、フランス、スペイン、イギリス、日本(刊行順)に次ぐ、丸善出版の文化事典シリーズの最新刊である。学界の最新の研究動向を反映し、総勢一三八名の執筆者による三三〇項目で、古代から現代までの歴史、思想と文学、宗教と美術、芸能と文学、現代中国社会の生活などの領域を網羅している。実用的で、実務家や初学者にも便利な工夫が凝らされた事典である。本書をめぐって、編集委員長の竹田晃氏と編集委員の西本晃二氏に語っていただいた。(編集部)

 ■一冊にまとまった初の文化史・文化概論…続きを読む

壮大な思考実験

――「快楽の社交主義」は「新しい社会主義」を意味する
評者:植田 隆

 わたしは、「愛」「快楽」「社交」といった刺激に満ちた言葉たちが、経済学とどのようにクロスしていくのだろうかと思いつつ読み進めていったことになる。フロイトのリビドー概念を本論全三章(表題は、第一章「愛の経済とはなにか」、第二章「愛における格差」、第三章「愛の社交主義のために」である)にわたり横断させて、「希望を生きつつそれに言葉を与えたい」(「あとがき」)と述べていることや、「社交すなわちコミュニケーションにおける格差が何ゆえに生じるのか」という「原理的な問題」(「序 物だけでも、そして心だけでもなく」)を考えることにあるとする著者の思いに、わたしは率直に共感したと、まずいっておきたい。

 だが、わたしなら逡巡して、なかなか表出させることができない愛という概念を、直截に「心のエネルギー」と捉え、さらにリビドーへと繋げていく著者が有している思考の膂力とでもいうべきものは認めざるをえないとしても、いささかトリッキーな論述のように感じたこともまた確かなのだ。しかし、読み終えて、極めてオーソドックスな視線を透徹させた、壮大な思考実験を試みていると見做したくなった。…続きを読む

世界の絨毯の文化史を俯瞰的に考察した大著

――188枚の美しいカラー図版と167枚の挿図と共に展開
評者:ヤマンラール水野美奈子

 本著は著者が10余年をかけて研究したインド南部デカン産の絨毯から世界の絨毯の文化史を俯瞰的に考察した大著である。

 絨毯とは何かという基本的な説明、その使用方法、絨毯が発達したイスラーム文化圏での絨毯の概要、15世紀頃からヨーロッパで享受されたイスラーム世界の絨毯、中国や日本での絨毯小史、そしてオランダの東インド会社などを介して日本にもたらされたイスラーム世界の絨毯、祇園祭の懸装品として日本の美意識の中に融合したイスラームの絨毯等々、世界中の絨毯の歴史や絨毯の魅力が188枚の美しいカラー図版と167枚の挿図と共に展開する。読者にとって、それはあたかも空飛ぶ美しい絨毯に乗って、時空を超えた絨毯の花園を見下ろすかのようである。…続きを読む