紙面掲載した書評をご紹介 「図書新聞」の書評コーナー

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 ◆ 3315号(8月5日発売号掲載)

今後50年出てこない仕事

国民文学である『源氏物語』を広く、正しく知ってほしい
中野幸一氏インタビュー

 ■勉誠出版から刊行されていた『正訳 源氏物語 本文対照』が、このたび全10冊で完結した。本書並びに『源氏物語』をめぐって、訳者の中野幸一氏に話をうかがった。(7月7日、東京・神田神保町にて。聞き手・村田優〔本紙編集〕)

 ■語りの姿勢を重視

 ――2012年からおよそ3年をかけて『源氏物語』の現代語訳を完成させました。中野訳の大きな特徴として、「である調」ではなく「ですます調」で訳されています。訳すにあたって、なぜ「ですます調」を採用したのでしょうか。…続きを読む

それでも人は歌を求めている

――あくまで歌う側、ものを創り出す側に丁寧に寄り添っている
評者:平井 玄

 ブルーボーイの夏

 私は少年時代にたぶん丸山(美輪)明宏を見かけている。街角で中学生の眼を一瞬過っただけの薄い記憶だから「たぶん」である。場所は新宿二丁目の交差点近くにあった「ユニコン」というバーの辺りだったと思う。1960年代も半ばを過ぎて夏の陽が翳る夕方、店の大きな木製ドアに吸い込まれる刹那、大きな瞳と青白い細面の美青年に眼を奪われた記憶がスナップショットのように網膜に焼き付いている。…続きを読む

「完全円」こそ「人間」なのだ

――子供たちのことを考えると同時に自らを見詰め直す作業にまで行き着ければ
評者:宮田徹也

 「子どもたちが祖先の表現様式をくり返しつつ発達している」(一三四頁)。驚愕の見解である。本書に興味が沸くのは子育て中の夫婦、教育者、心理学者、美術関係者に限られてはならない。著者の皆本二三江(一九二六年―)は、世界中で描かれた莫大の数の子供たちの絵を分析し、人類とチンパンジーの共通の祖先であるプロコンスルと初期猿人の骨格分析をする進化論、ドイツの生物学者E・ヘッケルの『一般形態学』、『胎児の世界』で有名な三木成夫の発達学等の自然科学と、美術史と美学という人文科学の知識を用いて考察を行なう。絵を描くのは子供であっても人間だから、人間の発生に対する見解を持つのは至極当然である。しかし、この「当然」という姿勢を発見し、保つことは容易ではない。…続きを読む