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紙面掲載した書評をご紹介 「図書新聞」の書評コーナー

◆ 2013年上半期読書アンケート【3119号(7月13日発売号掲載)】

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評者◆澤田直ほか46名

▼2013年上半期に出版された書籍・雑誌等の中から印象に残った3点を選んでもらい、今回、46名にアンケートを寄せていただきました(順不同)。〔編集部〕

◆小倉孝誠(フランス文学・文化史)

1 傳田光洋『皮膚感覚と人間のこころ』(新潮社)

1によれば、皮膚とは触覚器官であるのみならず、高周波音を知覚したり、光を受容したり、磁場に反応したりする。その意味で皮膚は、体の表面にある情報処理システムだという。皮膚研究の最前線の成果を伝えてくれる。

2 湯沢英彦『魂のたそがれ――世紀末フランス文学試論』(水声社)

2はフランス十九世紀末の文学をめぐる本格評論。ユイスマンスを中心に、ジャン・ロラン、ラシルドなど日本では馴染みの薄い作家も射程に収めながら、身体性、ヒステリー、霊媒現象などが鮮やかな手さばきで分析されている。世紀末=デカダンスという紋切り型を払拭してくれる一冊。

3 ピエール・ジャネ『心理学的自動症――人間行動の低次の諸形式に関する実験心理学試論』(松本雅彦訳、みすず書房)

3はフロイトと並ぶ精神医学の祖ジャネの主著。自動症とは要するに「無意識」のことで、ジャネはヒステリー患者への臨床をつうじてこの概念に辿りついた。十九世紀末フランスの精神医学を担ったのは、シャルコーだけではないのだ。

 最後に個別の作家論として、足立邦夫『レマルク――最も読まれ、最も攻撃された作家』(中央公論新社)は、かつて世界文学全集の常連だったこの作家に関する周到な伝記であり、鈴村和成『書簡で読むアフリカのランボー』(未來社)は、ランボーの手紙の自己言及性と自伝性を明らかにして興味深い。

『皮膚感覚と人間のこころ』

傳田光洋/著

新潮社

『心理学的自動症 人間行動の低次の諸形式に関する実験心理学試論』

ピエール・ジャネ/著
松本雅彦/訳

みすず書房

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◆竹中佳彦(政治学・日本政治論)

1 清水唯一朗『近代日本の官僚――維新官僚から学歴エリートへ』(中公新書)

明治維新によって必要となった行政機構に維新官僚が生まれ、維新官僚が藩閥政治家となると、大学で学んだ学士官僚が藩閥政治家を支え、しかしやがて学士官僚は、官僚出身の政治家となって政党政治を担っていく。その世代交代に伴うダイナミズムを、「制度としての民主主義」(統治と参加)、「集団としての官僚」(競争と協力)、「個人としての自己達成」(公志と私志)という三つの歯車がかみ合うことによる近代日本の前進と捉え、その媒体が官僚であったと主張する。

2 根津朝彦『戦後『中央公論』と「風流夢譚」事件――「論壇」・編集者の思想史』(日本経済評論社)

『中央公論』に掲載された天皇制に関する論文やルポルタージュ、高坂正堯・永井陽之助・衛藤瀋吉らの現実主義の論文を分析し、「風流夢譚」事件の前後で「現実批判」から「現実主義」へ転換したことや『中央公論』の編集者が果たした役割を、総合雑誌や新聞だけでなく、多数の聞き取りや書店へのPR誌・社内報を活用して、論壇の思想史と総合雑誌の構造を析出する。

3 小田義幸『戦後食糧行政の起源――戦中・戦後の食糧危機をめぐる政治と行政』(慶應義塾大学出版会)

一九四二年に成立した食糧管理法は、九五年の廃止まで戦後農政の基幹にあり、非効率部門を過剰に保護する「一九四〇年体制」=戦時体制の所産とされた。そうだとすればGHQや政党、新聞からの批判にさらされた食管体制がなぜ存続したのか。本書は、農林省食糧管理局が、食管体制の存続と強化をめぐって主導的な役割を演じ、敗戦直後の食糧危機を克服していったことを地道に描き出している。

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◆天沢退二郎(詩人)

1 ブノワ・ペータース作/フランソワ・スクイテン画『闇の国々 V』(関澄かおる・古永真一・原正人訳、小学館集英社プロダクション)

2 尾崎真理子『評伝・石井桃子と戦争』(前篇「新潮」1月号/後篇「同」2月号)

 今回取り上げた2点はいずれも未完の著作であって、前者は2年前から刊行のシリーズ第3篇、後者は近々に石井桃子評伝の中心部分として刊行されるが、いずれも、右の2点により、それぞれの魅力と価値とがほぼ確定されると見て、今回選ぶことにした。
 1は、カフカやジュリアン・グラックなどの文学作品に触発されながら大胆に展開されたSF劇画で、とくに、時間軸上の構造と立体的なオブジェや色彩や地霊的構造とが不可逆的に編み合わされているのが興味をそそってやまない(第W部も、今期中に刊行が予定されている)。
 2は、私など少年時代の児童文学オタクにとって母親的存在であった作家の、本格的評伝であって、生前の作家からの取材をはじめ、多くの資料を駆使しながら、息詰まるような密度の濃い仕事になっている。いずれ単行本として、さらに奥行きのある頁が読めることを期待したい。

『闇の国々 3』

ブノワ・ペータース/作
フランソワ・スクイテン/画
関澄かおる・古永真一・原正人/訳

小学館集英社プロダクション

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◆中井久夫(精神科医)

1 高橋睦郎『詩心二千年――スサノヲから3・11へ』(岩波書店、二〇一一年)

2 渡邊十絲子『今を生きるための現代詩』(講談社現代新書)

3 田川建三訳著『新約聖書 訳と註 第一巻―第三巻』(作品社)

1・2は日本語詩へのアプローチの両極か。いずれも理解できるところが日本語の詩たるところだと思う。
3 『書物としての新約聖書』以来の読者である。とにかく読んでいます。

『今を生きるための現代詩』

渡邊十絲子/著

講談社

『新約聖書 訳と註 1』

田川建三/訳著

作品社

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◆島谷謙(ドイツ文学)

1 平山令二『伝 安藤昌益『西洋真営道』』(鴎出版)

江戸時代、身分制度を否定した安藤昌益が、幕府の追及を逃れ日本を脱出し、シベリアを経て西欧を遍歴するという架空の旅物語。昌益の直耕の思想は西欧でも封建制批判、インテリ批判として機能し、同時代人のカント、ゲーテ、ラモー、ヴォルテール、ルイ16世達と対峙し、次々と相手を思想的に串刺しにしていく。ヴォルテールやルイ16世らの人物像がエピソードを交え生き生きと蘇る。才気溢れる文人小説。澁澤龍彦に読ませたい。

2 樫原修『「私」という方法――フィクションとしての私小説』(笠間書院)

大正末期に「私小説」が登場して以来、日本では多くの私小説が書かれてきた。西欧小説のような壮大な社会的広がりを持たない代わりに、作家個人の私的な小世界を掘り下げ、個人の夢と現実の断絶を見つめる。本書は最初に私小説の問題性と方法について述べ、各章で志賀直哉、梶井基次郎、太宰治等の作品を縦横に読み解く。大上段に構えず、作品を周到に論じる。江藤淳において個人の夢と現実の断絶は、治者の理想によっては架橋されなかった。私という存在がある限り、私小説のありようが問われる。

3 島田裕巳『映画は父を殺すためにある――通過儀礼という見方』(ちくま文庫)

宗教学の通過儀礼という視点から『ローマの休日』や黒澤、小津等に至る日米映画を論じる。通過儀礼は英雄の冒険譚の如く、試練を経て死と再生、冒険と帰還を果たす。黒澤映画では水が試練を象徴する。『男はつらいよ』の寅さんは試練を回避し流浪して通過儀礼を果たさない。母性社会日本の性格が浮かび上がる。

『伝安藤昌益『西洋真営道』』

平山令二/著

鴎出版

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◆野上暁(子ども文化研究)

1 徐園『日本における新聞連載 子ども漫画の戦前史』(日本僑報社)

新聞連載子どもマンガは、マンガ文化全体の発展にどのような役割を果たしたかなどを、明治三〇年代から主要八紙を対象に膨大な資料を基に仔細に分析して見せ、その労力には圧倒される。巻末の三五ページを費やした掲載紙別全作品リストは圧巻である。

2 白井澄子・笹田裕子編著『英米児童文化55のキーワード』(ミネルヴァ書房)

子ども観の歴史から始まり、家族や学校との関わり、生活空間、子どもたちに興味のある玩具や遊びやメディアなどから、絵本や童話や児童文学などへ、55のキーワードに沿って解説され、これまでにない切り口で、英米児童文化の歴史から現在までを包括的に概観できる便利な一冊である。

3 大塚英志『ミッキーの書式――戦後まんがの戦時下起源』(角川学芸出版)

15年戦争下に成立した日本のマンガとアニメーションの様式は、アメリカニズムのソビエト的方法による達成だと詳細に分析し、それが世界に受容される要因であるとする。具体的な作品や珍しい図版をたくさん紹介しながら、日本のマンガ・アニメ史に一石を投ずる、貴重な一冊である。

『英米児童文化55のキーワード』

白井澄子・笹田裕子/編著

ミネルヴァ書房

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◆郷原宏(文芸批評)

1 齋藤愼爾『周五郎伝――虚空巡礼』(白水社)

1は世上に流布する「伝説」を排して新しい山本周五郎像を提示する作家評伝の力作。市井の人々の哀歓に寄り添い、士道や婦道のあるべき姿を描きつづけた作家は、自身けっして清廉の士ではなかった。著者はその不実、背徳、虚言の数々を暴露しながら、にもかかわらず、あるいはむしろそれゆえに偉大な国民作家たりえた周五郎の秘密を解き明かす。

2 橋爪大三郎×大澤真幸×宮台真司『おどろきの中国』(講談社現代新書)

2は日本を代表する三人の社会学者による鼎談中国論。中国はそもそも「国家」なのかという基本的なところから論じはじめて、今後の日中関係のあり方にまで説き及ぶ。論証が具体的なので話がいちいち腑に落ちる。

3 キム・オンス『設計者』(オ・スンヨン訳、クオン)

3は〈新しい韓国の文学〉シリーズの第六巻で「韓国エンターテインメント小説の最高峰」。一言でいえば殺し屋を主人公にした犯罪小説なのだが、アメリカのクライム・ノヴェルやフランスのロマン・ノワールとひと味違う東洋風の雅趣ともいうべきものがあって五百五十ページを一気に読ませる。

『周五郎伝 虚空巡礼』

齋藤愼爾/著

白水社

『おどろきの中国』

橋爪大三郎・大澤真幸・宮台真司/著

講談社

『設計者』

キムオンス/著
オスンヨン/訳

クオン

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◆布野修司(建築批評)

1 脇田祥尚『スラムの計画学――カンボジアの都市建築フィールドノート』(めこん)

1カンボジアで居住環境改善に関わる調査を続ける都市住居論集。タイトルに違和感が残るが、膨大なフィールドワークがその論考を支えている。

2 延藤安弘『まち再生の術語集』(岩波新書)

2は、震災復興まちづくりにも奮闘する、「まちづくり伝道師」を自称する著者のまちづくりの「術語集」。もちろん、法律用語や行政用語が並ぶのではなく、まちづくりに力を与える、経験に裏打ちされた言葉の束である。言葉の連鎖が興味深い。

3 陣内秀信+法政大学陣内研究室編『アンダルシアの都市と田園』(鹿島出版会)

3は、東京と地中海を往復しながらフィールドワークを展開する著者グループの最新成果。

4陣内秀信・三浦展編著『中央線がなかったら見えてくる東京の古層』(NTT出版)もある。手前味噌ながら、5布野修司・ヒメネス・ベルデホ、ホアン・ラモン『グリッド都市――スペイン植民都市の起源、形成、変容、転生』(京都大学学術出版会)を上梓した。アジアの諸都市を歩いて、今は中国に集中しているのであるが、陣内グループの世界(3アンダルシア)とようやく繋がることができた気分である。その他、6建築のあり方研究会編『建築を創る 今、伝えておきたいこと』(井上書院)が、建築のありかたを掘り下げている。

『まち再生の術語集』

延藤安弘/著

岩波書店

『アンダルシアの都市と田園』

陣内秀信・法政大学陣内研究室/編

鹿島出版会

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◆荒川洋治(現代詩作家)

1 ブッツァーティ『タタール人の砂漠』『七人の使者・神を見た犬 他十三篇』(ともに脇功訳・岩波文庫)

1のブッツァーティの作品は、どちらの一冊もいい。短編「大護送隊襲撃」は五種類くらいの人間の悲哀がおりこまれる。密度の高さに、息をのむ。「水滴」は、集中の白眉。ことばの一滴にも、他にはない才能が示される。それも、とても「さわやかな」才能なのだ。こういう人はどの国にも、どの時代にも何人もいないように思う。

2 深沢七郎『庶民烈伝』(中公文庫)

2は、ほぼ半世紀前に書かれた連作。「おくま嘘歌」の「母」の思いは、これまで書かれることのなかった真理を内包する。「安芸のやぐも唄」は、おおきなできごとをどのようにとらえるかの問いかけをひめる。震災「特需」と、「ことばの被災」をおしすすめる日本の詩、小説、論説の意識の「甘さ」の対極にある深遠、怜悧、神秘の作。文学とはこれ以外ではない。

3 大江麻衣『黒塚』(「ユリイカ」六月号)

3は、二〇代女性の力作。新しい現実認識を求める気魄が胸を打つ。現在の詩の書き手のなかでは、一段上の才能をもつ人だ。そのことがこれではっきりした。

『タタール人の砂漠』

ブッツァーティ/作
脇功/訳

岩波書店

『七人の使者・神を見た犬 他十三篇』

ブッツァーティ/作
脇功/訳

岩波書店

『庶民烈伝』

深沢七郎/著

中央公論新社

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◆細見和之(ドイツ思想)

1 入谷秀一『かたちある生――アドルノと批判理論のビオ・グラフィー』(大阪大学出版会)

タイトルにある「かたち」とはまずもって「文体」のこと。アドルノの特徴ある文体に着目して、ワーグナー、ニーチェとの関係から、ホーネットのアドルノ理解まで、闊達にたどられている。「アドルノ」が難解な謎であった時代を思えば隔世の感がある。

2 フレデリック・ジェイムソン『アドルノ――後期マルクス主義と弁証法』(加藤雅之・大河内昌・箭川修・齋藤靖訳、論創社)

一九九〇年に原書が刊行されたアドルノ論、待望の翻訳。著者は、アドルノの思想は一九八〇年代という時代状況のなかでようやくタイムリーになったと語る。私たちはさらにその四半世紀のちを生きている。「ポストモダン」という言葉はもはや郷愁さえ帯びている。むしろ本書を、「新自由主義」という名の自然史イデオロギーと闘う武器としたい。

3 恒木健太郎『「思想」としての大塚史学――戦後啓蒙と日本現代史』(新泉社)

私が大学に入学した一九八〇年ごろ、まだ大学には大塚久雄の存在感が濃密に漂っていた。しかし、それは急速に後退していった。そもそも「大塚史学」とは何だったのか。著者は「反ユダヤ主義」をはじめ大塚史学のアキレス腱に文献学的に迫っているが、戦後日本こそが大塚史学を格好の消費対象にして肥え太っていったような気もする。

『アドルノ 後期マルクス主義と弁証法』

フレドリック・ジェイムソン/著
加藤雅之・大河内昌・箭川修・齋藤靖/訳

論創社

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◆新城郁夫(沖縄/日本文学)

1 鳥山淳『沖縄/基地社会の起源と相克 1945―1956』(勁草書房)

淡々とした筆致が、緻密な実証資料を繋ぎとめこれを交差させていく。その営みのなかから、「戦後」沖縄のごく早い時期の、米軍基地をめぐる人々の葛藤が鮮やかに浮かび上がってくる。とくに、「難民」化を強いられた沖縄の人々の有形無形の移ろいを、収容所生活や基地労働あるいは軍用地をめぐる主体化の軌跡として検証する鳥山の思考は、強い説得力を持つ。戦後沖縄を考える際の必読の一冊となる。

2 『軍隊は女性を守らない――沖縄の日本軍慰安所と米軍の性暴力』(WAM女たちの戦争と平和資料館)

橋下発言が明らかにしたのは、日本という国が、侵略戦争責任や人種差別を否認することさえ止めて、底なしの開き直りに至ったという事実である。安倍極右政権による生活の全面的破壊とナショナリズムの暴走も同根の病理から成り立っており、もはや末期。こうした時、一つ一つの証言と物証を積み上げ、性というツールを支配と収奪の作用点とする軍隊の構造を明証する本書の意義深さは、比類ない。極めて重要な一冊。

3 イトー・ターリ『ムーヴ――あるパフォーマンスアーティストの場合』(インパクト出版会)

ターリさんのパフォーマンスを思い返しながら、本書のなかの次のような言葉を反芻する。「本当のことをいつもいつも隠すことへの抵抗。隠蔽しつくすことによる不幸を、どれほど味わわねばならないのか」。セクシュアル・マイノリティの生を政治的抵抗の場へと変えていくこと。戦争の記憶を触れられる傷みとして現在化すること。そして、原発(核)を身体への暴力として可視化すること。そうした稀有な営みが、写真と言葉の影の交差となって出現する本書は、それ自体が見事な運動体となっている。

『ムーヴ あるパフォーマンスアーティストの場合』

イトーターリ/著
レベッカ・ジェニスン/訳

インパクト出版会

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◆中金聡(政治哲学)

1 スティーヴン・グリーンブラット『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』(河野純治訳、柏書房)

原題のSwerveとは、虚空を垂直に等速落下するエピクロスの原子がその軌道から予期せず「逸れる」ことをいう。その記述を含むルクレティウスの写本は、ルネサンス期のブックハンターによって僧院でたまたま発見され、その波紋は世界を思いもかけなかった方向へとつき動かしていく。数々の偶然から近代がはじまる次第を虚実取り混ぜて解き明かす。

2 市野川容孝・宇城輝人編『社会的なもののために』(ナカニシヤ出版)

「社会的なもの」は公/私のカテゴリーで十全に語りうるのだろうか。社会保障、社会民主主義、ソーシャル・キャピタルなどの用語に含意される規範的概念としての「社会的なもの」をめぐって、確実に今後の思想をゆくえを占う議論が展開される。

3 ジャック・デリダ『散種』(藤本一勇・立花史・郷原佳以訳、法政大学出版局)

テクストのパフォーマンスによって記憶されている初期の代表作だが、プラトン論としての評価やカバラ主義とのかかわりなど、あえて伝統的なテクスト解釈の問いをぶつけてみたくなる。門外漢には詳細な訳注がありがたい。

『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』

スティーヴン・グリーンブラット/著
河野純治/訳

柏書房

『社会的なもののために』

市野川容孝・宇城輝人/編
宇野重規/ほか著

ナカニシヤ出版

『散種』

ジャック・デリダ/著
藤本一勇・立花史・郷原佳以/訳

法政大学出版局

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