受賞作情報

第79回毎日出版文化賞2025.11.4

〜文学・芸術部門〜

YABUNONAKA―ヤブノナカ
<文藝春秋社>

金原ひとみ/著

性加害の告発が開けたパンドラの箱。MeToo運動、マッチングアプリ、SNS……世界の急激な変化の中で溺れもがく人間たち。対立の果てに救いは訪れるのか?「わかりあえないこと」のその先を描く、日本文学の最高到達点。「変わりゆく世界を、共にサバイブしよう。」金原ひとみ 文芸誌「叢雲(むらくも)」元編集長の木戸悠介、その息子で高校生の越山恵斗、編集部員の五松、五松が担当する小説家の長岡友梨奈、その恋人、別居中の夫、引きこもりの娘。ある女性がかつて木戸から性的搾取をされていたとネットで告発したことをきっかけに、加害者、被害者、その家族や周囲の日常が絡みあい、うねり、予想もつかないクライマックスへ。性、権力、暴力、愛が渦巻く現代社会を描ききる、著者史上最長、圧巻の1000枚。『蛇にピアス』から22年、金原ひとみの集大成にして最高傑作!

〜人文・社会部門〜

未完の建築―前川國男論・戦後編
<みすず書房>

松隈 洋/著

敗戦直後の木造プレハブ住宅プレモスにはじまり、新宿の紀伊國屋書店、慶應義塾大学病院、国立国会図書館、東京文化会館、東京海上火災ビル、弘前での建物群はじめ日本各地の美術館・市民会館など数々の建築の設計を手がけてきた前川國男(1905-1986)。高度経済成長、東京オリンピック、大阪万博、ポストモダンの時代の渦中にあって、ル・コルビュジエの精神を継ぎ、根源に立ち戻って「人間にとって建築とは何か」を問いつづけた前川は、派手な建築世界から距離をおき、その姿勢や思想は晩年の建築群に刻まれていく。「私は、今日ある意味で一番えらい建築家というのは、何も建てない建築家だと、そういう逆説の成り立つそういう時代じゃないかと時々思います」とまで語った前川にとって、建築とは何であったのか。前川自身のことばや関係者の発言、当時の資料を駆使して、その人と作品と社会と時代を鮮やかに描き切った渾身の力作である。『建築の前夜 前川國男論』(2016)を継ぐ、前川國男の仕事の戦後編。

〜自然科学部門〜

土と生命の46億年史―土と進化の謎に迫る
<講談社>

藤井 一至/著

『土 地球最後のナゾ』で河合隼雄賞受賞を受賞した著者による、書下ろし最新作!〔前書きより〕「土とは何なのか?」「なぜ生命や土を作ることができないのか?」という本質的な問いをあいまいなままにしておくことはできない。46億年の地球の歴史を復元し、豊かな土と生命、文明を生み出したレシピを明らかにすることがこの本の目的である。生と死は、生物と無生物は、土でつながる。多くの陸上生物は土から命の糧を得て、やがて遺体は土の一部になる。つまり、土も変化する。土が変われば、そこで生きられる生物も変化する。40億年の相互作用の中で、地球は次の時代の主役となる生物に適した土壌を用意する。土に居場所を見つけた生物は生存権を得て、さもなければ絶滅してきた。途中でレースを降りた恐竜の化石とは違い、土はいつも陸上生物のそばで並走してきた。土は、地球の変化を見続けてきた“生き証人”としての顔を持つ。どうだろうか。もし、足元の土が実は生命誕生や私たちヒトをも含む生命進化、今日の環境問題の根っこにまで大きく関わる46億年にわたる壮大なストーリーを教えてくれるとしたら。もう恐竜の化石にすべてを任せておくわけにはいかない。身近にありながら、普段はあまり注目されることのない土だが、私たちは土なしに繁栄していなかっただろうし、いまだに人類が人工的に作れない複雑で神秘的な力を秘めている土が未来を照らす一条の光となるにちがいない。

〜企画部門〜

完全版 土地〈20巻〉
<クオン>

朴景利/著 金正出/監修 吉川凪/訳

韓国を代表する大河小説・全20巻、世界初の完訳。弘を頼ってハルビンに行った栄光は、独立運動に関わり父と親しかった錫、良絃の実父・相絃らと出会う。 栄善は智異山の家に母が来たことで、兄の満州行きを知る。 西姫は仁川の良絃を気遣い、平沙里の屋敷に連れ戻した。 永八が死んで平沙里の来歴を知る人も少なくなり、代々続く家同士の因縁も新しい世代に払拭されていく。 南姫は延鶴の配慮で晋州の参判家に身を寄せ、尚義は女学校を卒業した。 自分の意思が希薄だった人生を悔やみ、明姫は周囲を驚かせる行動に出る。それを機に集まった海道士やカンセら山の男たちは、スパイを捉えたとの知らせに緊張感を高めた。 そうした中、とうとう皆が待ち望んだ日を迎える。

〜特別賞〜

プラムディヤ・アナンタ・トゥールとその時代〈上〉
プラムディヤ・アナンタ・トゥールとその時代〈下〉
<めこん>

押川典昭/著

二〇世紀アジアを代表する作家プラムディヤ・アナンタ・トゥール。その八一年の生涯はオランダの植民地支配、独立後の新国家建設、スハルトによる独裁的支配まで、インドネシアが歩んできた歴史と重なる。その間、彼は三度におよぶ牢獄と流刑生活のなかで、さまざまな物語を紡ぎだし、作品は四〇を超える言語に翻訳され世界的な名声を獲得した。作家はいかに誕生し、いかに生き、いかに闘ったのか。豊富な資料をもとに、彼の生涯と時代との格闘をいきいきと描きだす世界初の本格評伝。

次にくるマンガ大賞2025決定!2025.9.18

■コミックス部門第一位

魔男のイチ
<集英社>

西修・宇佐崎しろ/著

この世界において魔法とは生き物である。そして困難な試練を乗り越え、魔法を習得するハンターたちを人は「魔女」と呼ぶ。ある日、辺境の山奥で恐るべき王の魔法と最強の魔女が激闘を繰り広げていた。しかしそこへ、場違いな一人の少年が乱入する。彼の名はイチ。魔女とも魔法とも縁の無い山暮らしの狩人が世界の常識をひっくり返す! 魔法ハンティングファンタジー開幕!

■webマンガ部門第一位

サンキューピッチ
<集英社>

住吉九/著

6月、神奈川県の高校球児の間で、ある噂が囁かれていた。夜な夜な現れては「3球勝負」を挑む謎の男、「野球部狩り」──。男は驚異的な豪速球を持ち、勝負に負けたことがないという!!県立横浜霜葩高等学校、野球部キャプテンの小堀は「野球部狩り」が学内にいると推測。小堀は悲願の甲子園出場のため、男を勧誘しようと自ら囮となることを決めた。そしてその夜、グラウンドに「野球部狩り」が現れる!! だが、男には野球ができない“ある秘密”があって……。高校3年、最後の大会まで3週間、投げられる球──3球?! 9回ウラから始まる野球譚、試合開始!!

第12回 料理レシピ本大賞 受賞作決定!2025.9.10

〜大賞〜

すべてを蒸したい せいろレシピ
<Gakken>

りよ子/著

「せいろ蒸し」に特化したInstagram投稿が注目を集めるりよ子さんの初レシピ本。せいろさえあれば、家にある食材を切って詰めて蒸すだけで、ヘルシーなおうちごはんが完成。どんな食材もふっくら、しっとり、素材本来のうまみや甘みが引き出される。

〜準大賞〜

リュウジ式至高のレシピ 人生でいちばん美味しい!基本の100料理 3
<ライツ社>

リュウジ/著

ぜったいに、裏切らない。 リュウジ@料理のおにいさんの人気レシピ本シリーズ第三弾!

第173回 芥川龍之介賞・直木三十五賞 受賞作情報2025.7.16

■第173回芥川龍之介賞

 該当作なし

■第173回直木三十五賞

 該当作なし

第173回 芥川龍之介賞・直木三十五賞 候補作品決定!2025.6.12

第173回芥川龍之介賞・直木三十五賞の候補作をご紹介します(作者五十音順・敬称略)。
選考会は7月16日に、都内で開催されます。

■第173回芥川龍之介賞 候補作(掲載誌)

グレゴリー・ケズナジャット 『トラジェクトリー』(文學界 6月号)

駒田隼也(こまだ じゅんや)『鳥の夢の場合』(群像 6月号)

向坂くじら(さきさか くじら)『踊れ、愛より痛いほうへ』(文藝春号)

日比野コレコ(ひびの これこ)『たえまない光の足し算』(文學界 6月号)

■第173回直木三十五賞 候補作(出版社)

逢坂冬馬(あいさか とうま)『ブレイクショットの軌跡』(早川書房)

青柳碧人(あおやぎ あいと)『乱歩と千畝』(新潮社)

芦沢央(あしざわ よう)『嘘と隣人』(文藝春秋)

塩田武士(しおた たけし)『踊りつかれて』(文藝春秋)

夏木志朋(なつき しほ)『Nの逸脱』(ポプラ社)

柚月裕子(ゆづき ゆうこ)『逃亡者は北へ向かう』(新潮社)

2025年本屋大賞2025.4.9

〜大賞〜

カフネ
<講談社>

阿部暁子/著

一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。やさしくも、せつない。この物語は、心にそっと寄り添っている。法務局に勤める野宮薫子は、溺愛していた弟が急死して悲嘆にくれていた。弟が遺した遺言書から弟の元恋人・小野寺せつなに会い、やがて彼女が勤める家事代行サービス会社「カフネ」の活動を手伝うことに。弟を亡くした薫子と弟の元恋人せつな。食べることを通じて、二人の距離は次第に縮まっていく。

第172回 芥川龍之介賞・直木三十五賞 受賞作決定!2025.1.15

■第172回芥川龍之介賞

DTOPIA
<河出書房新社>

安堂ホセ/著

舞台は南太平洋の楽園、ボラ・ボラ島。白人女性“ミスユニバース”を巡って10人の男が競う。Mr.L.A.、Mr.ロンドン、そしてMr.東京―やがてショーの視聴者たちは「自分だけのDTOPIA(デートピア)」を編集しはじめ、楽園の時間は膨張する。

ゲーテはすべてを言った
<朝日新聞出版>

鈴木結生/著

高明なゲーテ学者、博把統一は、一家団欒のディナーで、彼の知らないゲーテの名言と出会う。ティー・バッグのタグに書かれたその言葉を求めて、膨大な原典を読み漁り、長年の研究生活の記憶を辿るが……。ひとつの言葉を巡る統一の旅は、創作とは何か、学問とは何か、という深遠な問いを投げかけながら、読者を思いがけない明るみへ誘う。若き才能が描き出す、アカデミック冒険譚!

■第172回直木三十五賞

藍を継ぐ海
<新潮社>

伊与原新/著

数百年先に帰ってくるかもしれない。懐かしい、この浜辺に−−。なんとかウミガメの卵を孵化させ、自力で育てようとする徳島の中学生の女の子。老いた父親のために隕石を拾った場所を偽る北海道の身重の女性。山口の島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男−−。人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。きらめく全五篇。

第17回 MOE絵本屋さん大賞2024.12.27

■第一位

大ピンチずかん2
<小学館>

鈴木のりたけ/作

子どもが大ピンチに陥ってしまったとき、その大ピンチの理由がわかれば、そんなにおそれることはない。進化した『大ピンチずかん2』では、子どもが陥りやすい大ピンチを、大ピンチレベルの順に掲載するのはそのままに、新たに採用した「大ピンチグラフ」で、6つの要素からその理由を解明する。さてきみの大ピンチの原因はなんだろう?ドキドキ?イライラ?それともつらい?

第172回 芥川龍之介賞・直木三十五賞 候補作品決定!2024.12.13

第172回芥川龍之介賞・直木三十五賞の候補作をご紹介します(作者五十音順・敬称略)。
選考会は来年1月15日に、都内で開催されます。

■第172回芥川龍之介賞 候補作(掲載誌)

安堂ホセ(あんどう ほせ)『DTOPIA』(河出書房新社)

鈴木結生(すずき ゆうい)『ゲーテはすべてを言った』(朝日新聞出版)

竹中優子(たけなか ゆうこ)『ダンス』(新潮社)

永方佑樹(ながえ ゆうき)『字滑り』(文藝春秋/文學界 2024年10月号)

乗代雄介(のりしろ ゆうすけ)『二十四五』(講談社)

■第172回直木三十五賞 候補作(出版社)

朝倉かすみ(あさくら かすみ)『よむよむかたる』(文藝春秋)

伊与原新(いよはら しん)『藍を継ぐ海』(新潮社)

荻堂顕(おぎどう あきら)『飽くなき地景』(KADOKAWA)

木下昌輝(きのした まさき)『秘色の契り 阿波宝暦明和の変顛末譚』(徳間書店)

月村了衛(つきむら りょうえ)『虚の伽藍』(新潮社)

このマンガがすごい!2025 決定!2024.12.13

「このマンガがすごい!2025」のオトコ編・オンナ編のランキング1位作品をご紹介します。
「このマンガがすごい!2025」ご購入はこちら

■オトコ編 1位

君と宇宙を歩くために
<講談社>

泥ノ田犬彦/著

勉強もバイトも続かないドロップアウトぎみなヤンキーの小林。ある日彼のクラスに変わり者の宇野が転校してくる。小林が先輩から怪しいバイトに誘われているところを宇野に助けられ、その出来事をきっかけに2人の距離は縮む。宇野のことを知れば知るほど彼の生き方に惹かれ、自分も変わろうと行動する小林だったが…。「普通」ができない正反対の2人がそれぞれ壁にぶつかりながらも楽しく生きるために奮闘する友情物語。

■オンナ編 1位

環と周
<集英社>

よしながふみ/著

家族、恋、友情……さまざまな関係性で綴られる“好きのかたち”。
──現代編 中学生の一人娘が同級生の女の子とキスをしているのを目撃して動揺する妻。実は夫にも、かつて同級生の男の子を好きになったことがあった。
──明治時代編 大切な“お友達”になった女学生の環と周。周の縁談が決まり二人は離れ離れに……。
──70年代編 病気で余命わずかと知った環は、同じアパートに住む少年と出会い交流が始まる。
──戦後編 復員兵の周は元上官の環と再会し、闇市で一緒に店を始めるが、環には秘密があった。
──江戸時代編 周の夫を斬った相手は、幼馴染みの環だった。仇討ちのため再会したことから、二人の運命が変わり始める。

第40回織田作之助賞 受賞作決定!2023.12.25

それは誠
<文藝春秋>

乗代雄介/著

生き別れになった、大好きな「おじさん」に、もう一度会いたい。高校生たちの一日限りの冒険。第169回芥川賞候補作。

主な文学賞

小説

ミステリー・SF

児童・絵本

コミック

ノンフィクション

ご当地型

ジャンル特化型