■第174回芥川龍之介賞
鳥山まこと/著
ここで暮らしていた人々の存在の証を、ただ、描きとめておきたい。三田文學新人賞でデビューした注目の小説家が紡ぐ、あたらしい建築文学。いしいしんじ氏、推薦!「大切に建てられた一軒の家に、ひとの気配がやどる。流れる時のすきまから、あまたの声がもれだしてくる。いつかまた、この本のなかに帰ってこようと思った。」青年は描く。その家の床を、柱を、天井を、タイルを、壁を、そこに刻まれた記憶を。目を凝らせば無数の細部が浮かび、手をかざせば塗り重ねられた厚みが胸を突く。幾層にも重なる存在の名残を愛おしむように編み上げた、新鋭による飛躍作。
■第一位
「くろまめ ぴかぴか あまい まめ。まめまめしく くらせますように」「きんとん きんかん きんいろ こがね。おかねが いっぱい たまりますように」など、おせち料理を美しい絵でひとつひとつ紹介しながら、そこに込められた願いをリズミカルなことばで伝える絵本です。 時代も変わり、おせち料理もバラエティーに富んでいますが、今も昔も人々の願いは同じ。改めて日本の伝統食・おせち料理の良さを味わえる一冊です。
谷崎由依/著
第一子の妊娠中、切迫早産で急遽入院を余儀なくされた「わたし」。医師からは「三ヵ月は出られない」という衝撃の事実を聞かされる。妊娠7ヵ月で子宮口がひらくとは、それほどの重症なのだった。生業とする書き仕事や日常の営みを奪われ、ただすべての時間を横になって過ごす日々の中、ある晩ひとりの女が「わたし」のもとを訪れる。彼女こそ、能『隅田川』に登場する女物狂い。人攫いに遭い子を失った彼女を案内人に、中世・京の都から駆け込み寺、若狭のお水送り、海辺の産小屋へと、「わたし」と“班女”の時空を超えた道行きは続き…。切迫早産での入院中の日々の詳細と、子産みと生命にまつわる夢幻の地獄めぐりを編み上げた、かつてない出産幻想文学。
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〜大賞〜
チャン・グエン/作 ジート・ズーン/絵 杉田七重/訳
わたしはチャーン。野生動物を守る活動をしています。生後2週間で親をうばわれたマレーグマの女の子ソリアを育てています。食べものを自分で見つけて自力で生きていけるように、森に帰って仲間とともに生きていけるように、毎日いっしょにすごして練習しています。お別れする日を考えるとさびしくなるけれど、ソリアのためにがんばらなきゃ!ベトナムの自然保護活動家、チャン・グエンの若き日の活動にもとづく自伝的グラフィックノベル。絵を描いたジート・ズーンは、本書で、イギリスの児童書最高峰の賞である2023カーネギー賞画家賞を受賞。
〜特別賞〜
クリスティーナ・スーントーンヴァット/著 こだまともこ/訳 辻村万実/訳
刑務所の庭の巨大なマンゴーの木の下で、街の光を眺めている少年の名前はポン。彼は法律により、13歳になるその日まで、刑務所を出ることができません。何の罪をおかしたのでしょう?いいえ、ただ「刑務所で生まれた」というだけで。ポンは、あの光の下には自由が待っていると信じていました。ところが、ポンは知ってしまったのです。13歳になってここを出たあとも、自分はけっして本当の自由を手にすることはないのだと。一方、刑務所長の“完ぺきな娘”ノックは、父の名誉を守るため、脱獄犯となったポンを追いかけます。ノックにとって、法を守ることは絶対であり、ポンは再びつかまって罰をうけ、一生を刑務所ですごすべきなのです。しかし外の世界は、ポンに、そしてノックに、思いもよらなかった真実をつきつけるのでした―。
〜文学・芸術部門〜
金原ひとみ/著
性加害の告発が開けたパンドラの箱。MeToo運動、マッチングアプリ、SNS……世界の急激な変化の中で溺れもがく人間たち。対立の果てに救いは訪れるのか?「わかりあえないこと」のその先を描く、日本文学の最高到達点。「変わりゆく世界を、共にサバイブしよう。」金原ひとみ 文芸誌「叢雲(むらくも)」元編集長の木戸悠介、その息子で高校生の越山恵斗、編集部員の五松、五松が担当する小説家の長岡友梨奈、その恋人、別居中の夫、引きこもりの娘。ある女性がかつて木戸から性的搾取をされていたとネットで告発したことをきっかけに、加害者、被害者、その家族や周囲の日常が絡みあい、うねり、予想もつかないクライマックスへ。性、権力、暴力、愛が渦巻く現代社会を描ききる、著者史上最長、圧巻の1000枚。『蛇にピアス』から22年、金原ひとみの集大成にして最高傑作!
〜人文・社会部門〜
松隈 洋/著
敗戦直後の木造プレハブ住宅プレモスにはじまり、新宿の紀伊國屋書店、慶應義塾大学病院、国立国会図書館、東京文化会館、東京海上火災ビル、弘前での建物群はじめ日本各地の美術館・市民会館など数々の建築の設計を手がけてきた前川國男(1905-1986)。高度経済成長、東京オリンピック、大阪万博、ポストモダンの時代の渦中にあって、ル・コルビュジエの精神を継ぎ、根源に立ち戻って「人間にとって建築とは何か」を問いつづけた前川は、派手な建築世界から距離をおき、その姿勢や思想は晩年の建築群に刻まれていく。「私は、今日ある意味で一番えらい建築家というのは、何も建てない建築家だと、そういう逆説の成り立つそういう時代じゃないかと時々思います」とまで語った前川にとって、建築とは何であったのか。前川自身のことばや関係者の発言、当時の資料を駆使して、その人と作品と社会と時代を鮮やかに描き切った渾身の力作である。『建築の前夜 前川國男論』(2016)を継ぐ、前川國男の仕事の戦後編。
〜自然科学部門〜
藤井 一至/著
『土 地球最後のナゾ』で河合隼雄賞受賞を受賞した著者による、書下ろし最新作!〔前書きより〕「土とは何なのか?」「なぜ生命や土を作ることができないのか?」という本質的な問いをあいまいなままにしておくことはできない。46億年の地球の歴史を復元し、豊かな土と生命、文明を生み出したレシピを明らかにすることがこの本の目的である。生と死は、生物と無生物は、土でつながる。多くの陸上生物は土から命の糧を得て、やがて遺体は土の一部になる。つまり、土も変化する。土が変われば、そこで生きられる生物も変化する。40億年の相互作用の中で、地球は次の時代の主役となる生物に適した土壌を用意する。土に居場所を見つけた生物は生存権を得て、さもなければ絶滅してきた。途中でレースを降りた恐竜の化石とは違い、土はいつも陸上生物のそばで並走してきた。土は、地球の変化を見続けてきた“生き証人”としての顔を持つ。どうだろうか。もし、足元の土が実は生命誕生や私たちヒトをも含む生命進化、今日の環境問題の根っこにまで大きく関わる46億年にわたる壮大なストーリーを教えてくれるとしたら。もう恐竜の化石にすべてを任せておくわけにはいかない。身近にありながら、普段はあまり注目されることのない土だが、私たちは土なしに繁栄していなかっただろうし、いまだに人類が人工的に作れない複雑で神秘的な力を秘めている土が未来を照らす一条の光となるにちがいない。
〜企画部門〜
韓国を代表する大河小説・全20巻、世界初の完訳。弘を頼ってハルビンに行った栄光は、独立運動に関わり父と親しかった錫、良絃の実父・相絃らと出会う。 栄善は智異山の家に母が来たことで、兄の満州行きを知る。 西姫は仁川の良絃を気遣い、平沙里の屋敷に連れ戻した。 永八が死んで平沙里の来歴を知る人も少なくなり、代々続く家同士の因縁も新しい世代に払拭されていく。 南姫は延鶴の配慮で晋州の参判家に身を寄せ、尚義は女学校を卒業した。 自分の意思が希薄だった人生を悔やみ、明姫は周囲を驚かせる行動に出る。それを機に集まった海道士やカンセら山の男たちは、スパイを捉えたとの知らせに緊張感を高めた。 そうした中、とうとう皆が待ち望んだ日を迎える。
〜特別賞〜
押川典昭/著
二〇世紀アジアを代表する作家プラムディヤ・アナンタ・トゥール。その八一年の生涯はオランダの植民地支配、独立後の新国家建設、スハルトによる独裁的支配まで、インドネシアが歩んできた歴史と重なる。その間、彼は三度におよぶ牢獄と流刑生活のなかで、さまざまな物語を紡ぎだし、作品は四〇を超える言語に翻訳され世界的な名声を獲得した。作家はいかに誕生し、いかに生き、いかに闘ったのか。豊富な資料をもとに、彼の生涯と時代との格闘をいきいきと描きだす世界初の本格評伝。
〜大賞〜
りよ子/著
「せいろ蒸し」に特化したInstagram投稿が注目を集めるりよ子さんの初レシピ本。せいろさえあれば、家にある食材を切って詰めて蒸すだけで、ヘルシーなおうちごはんが完成。どんな食材もふっくら、しっとり、素材本来のうまみや甘みが引き出される。
第173回芥川龍之介賞・直木三十五賞の候補作をご紹介します(作者五十音順・敬称略)。
選考会は7月16日に、都内で開催されます。
グレゴリー・ケズナジャット 『トラジェクトリー』(文學界 6月号)
駒田隼也(こまだ じゅんや)『鳥の夢の場合』(群像 6月号)
向坂くじら(さきさか くじら)『踊れ、愛より痛いほうへ』(文藝春号)
日比野コレコ(ひびの これこ)『たえまない光の足し算』(文學界 6月号)
逢坂冬馬(あいさか とうま)『ブレイクショットの軌跡』(早川書房)
青柳碧人(あおやぎ あいと)『乱歩と千畝』(新潮社)
芦沢央(あしざわ よう)『嘘と隣人』(文藝春秋)
塩田武士(しおた たけし)『踊りつかれて』(文藝春秋)
夏木志朋(なつき しほ)『Nの逸脱』(ポプラ社)
柚月裕子(ゆづき ゆうこ)『逃亡者は北へ向かう』(新潮社)
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